ミヤビクエスト〜第40話

  • 第40話〜急展開

 
 「…じゃあ、あとよろしくね。」
 そういうと女王は玉座から自分の部屋の奥へと行ってしまった。
 「なんだか、変なところだけど、悪い人たちではなさそうね。
  ここのライブハウスはガールズバンドとかがいるのかな?…あれ、千ちゃん?」
 「あ〜、燃やしたい…、なんでもいいから燃やしたい…」
 「千ちゃん?さっきから何か変アルよ」
 千はどこか遠いところを見つめている。そこに、再びよっし〜が話しかけてくる。
 「あの〜、今うちではマッチを切らしてまして…、それで、魔法使いさん?
  マッチを買いたくて、お話を伺いたいんで、ちょっとこちらに来ていただけません?」
 「ほえ〜、はい…一箱3円です…、行きます…」
 「あれ?千ちゃん、それは安すぎない?いつもはムダに高いライブ会場のTシャツよりも
  高いのに、3円って…」
 「そうアル。とりあえず、私たちもその話についていくアル」
 千の細い目はさらに細くなっている。千と一緒に来ようとするちゃおとうのっぱに対して、よっし〜は…
 「あ、あなたたちはいいです。魔法使いさんだけで。
  ちょっと、この人たちを例のところへお連れしてやって!
  ささ、魔法使いさんはこちらへ…ふふふ」
 そう言うと、どこからともなく下女がやってきて、ちゃおとうのっぱの両腕を掴み、どこかに連れて行こうとした。…それはまるで、罪人を連行するかのように。
 「ちょ、ちょっと何するアル!やめるアル!千ちゃん、助けて〜」
 ちゃおの叫びに対しても千は上の空で、「燃やしたい…」とか、「早く出せ…」とか「特にベース…」とか、よくわからない言葉を発している。
 「うわ、ライブでどんだけ暴れても、こんなことはされたことないのに〜」
 ちゃおとうのっぱはそのまま抵抗することもできずにどこかに連れて行かれてしまった…。
 「ふふふ、とりあえず、魔法使いはゲット!
  あとのふたりも、あのミミガー地獄やサーターアンダギー地獄の力で…ふふふ」
 よっし〜は不適な笑みを浮かべている。千の目はさらに細くなっている。何かを斬って「残念」とかいう人よりも細くなっている。マッチ箱のひとつが何故かブルブルと震えている。



 一方、雅たちは…
 「う〜ん、なかなかテレポートが成功しないぞ…、う〜ん…」
 「肝心な時にダメですねぇ。ところで、女性陣はどうしてるんでしょう?
  女性だけが暮らす国だから、ちやほやされてるんですかね?」
 「う〜ん、テレポートが…」
 「雅さん?」
 「う〜ん…」
 そうこうしている間に、看守(もちろん女性)がやってきて…
 「お前たち、処刑の日取りが決まったぞ!」
 「えぇっ!?処刑!?」
 雅はトシの話には反応しなかったのに、「処刑」という言葉に反応した。
 「いや、僕ら女性の国とは知らずにこの国に入ったのに、それで処刑なんて…」
 「知ってても知らなくても、この国には、男はいちゃいけないので。
  で、処刑は2日後の正午に決まりましたんで、では。」
 「えぇ〜!?どうなるの?やっぱりテレポートしなきゃ…、う〜ん…」
 「ちゃおとかがいたら、蹴りでも何でもやってこの牢も壊せるんですけどね…」
 雅が慌て、トシが「ちゃお」と言う単語を発した瞬間、去ろうとしていた先ほどの看守が向き直り、
 「え、ちゃお?あんたたち、ちゃおの知り合いなの?
  そうか、じゃあ…」
 看守の手にあったのは、槍ではなく、ナギナタであった…


 千はどうなってしまったのか?ちゃおとうのっぱは?ミミガー地獄、サーターアンダギー地獄とはいったい?
 そして、急に大ピンチの雅とトシ!そこに現れた看守の正体は?
 次回に続く…