ふと思う。

 猫の鳴き声は、ちゃんと聴くと「ニャーオ」ではなく、「ナーウ」と聞こえる。
 要するに、猫は普段だらだら生きているわけではなく、常に今を生きているのだよ、ということなのだろう。今を最大限に楽しむために前脚で鶏のささ身を食してみたり、ミルクで顔を汚してみたり、家の壁紙を悪気なくはがしてみたり、人の座椅子を横取りしたりしているのだろう。
 もしくは、デビット・カッパーフィールドのまねをしているのかもしれない。