ミヤビクエスト〜第55話

  • 第55話〜大きめ

 「無料でお教えするわけには…」
 「あ、あの、支配人さん、首が痛いんで、少しかがんでいただけるとありがたいんですが…」
 雅は申し訳なさそうにホテルの支配人であるkisaにそう言った。
 「あぁ、すいません」
 そう言って支配人は自分の腰を大きく曲げて再び雅に向けて話し始めた。
 「そうなんです。お客様の個人情報を無料でお教えするわけには…」
 「あの、支配人さん、腰を曲げてもらって、ありがたいんですけど、
  それでもまだ、見下されてて、なんだかプレッシャーを感じてしまうんで、
  どこかで座って話していただけると…」
 雅はまだ支配人を見上げたままだった。
 「あぁ、すいません。人より体が少し大きいもので…」
 …支配人はそう言うと、雅たちを自分の部屋に招き、支配人自身は自分のひざを抱え座った。やっと立ったままの雅と目線がまっすぐ合うようになった。
 ひざを抱え座る支配人と雅で、もう10畳はある部屋がいっぱいである。



 「…あの、じゃあ、いくら払えば教えていただけるんですか?」
 「ピーマン2000個です」
 「え?」
 「ピーマン2000個です」
 「…はい?」
 「あぁ、金色のピーマンなら2個でいいですけど、ピーマン2000個です」
 「ピーマンですか…、ない、ですね…」
 「あっ!そう言えばあなた外からきた方でしたね。
  この国では、ピーマンが通貨として使われているんですよ、ピーマン王国ですから。
  この国ではいろんなこと、いろんなところにピーマンがあるんですよ、
  ピーマン王国ですから!」
 支配人は、誇らしげにピーマン王国のことを述べると、興奮して立ち上がった。雅がものすごく高いと思っていた天井に、支配人の頭は今にもつきそうなくらいである。
 「う〜ん、ピーマンはないんですけど、どうしても教えて欲しいんですよ。
  どうすればいいですか?」
 「そうですね、じゃあ、私のお願いを聞いていただけますか?
  …雅さんは、このホテルがなぜ暗い雰囲気なのか、わかりますか?」
 「…えぇと、う〜ん…」
 雅は「あなたが大きいから」と言おうと思ったが、なんとなくやめておいた。
 「そう!このホテルのある部屋には、幽霊がいるのです。というか、いるらしいのです。
  その部屋に幽霊がいる、という噂が出て以来、あまりお客様が来なくなってしまって…
  雅さん、退治していただけませんか?そしたら、お客様のことをお教えしても…」
 「はい、いしーちゃんのためなんで、やります!!」
 「そうですか、では早速その部屋に…」


 幽霊の出る部屋で何が起こるのか?
 仲間たちはどうなるのか?
 ちゃおのツッコミの師匠とホテルの支配人が出会うとどうなるのか?
 次回に続く!