ミヤビクエスト〜第52話
- 第52話〜HG?
「そうかぁ…、ピーマン王国に行きたいのか…、
そんなことより、そこのラケットのお兄さん、私の家で少し遊んでいかないかい?」
“いかにも海の男といった風貌”の“ダンディなおじさん”は不敵な笑みを浮かべ、トシに優しい声で言った。
「いや、遠慮しときます。雅さん、なんか、怖いです、さっさとピーマン王国に行きましょう!」
トシは嫌な予感しかしなかった。ダンディなおじさんはいかにも海の男のような風貌をしているのだが、トシの目には、何故かサングラスで黒い衣装、黒い短パンをはいているように見えてしかたがなかった。背中には「HG」と入っているように見えてしかたがなかった。
「船欲しいフォー!!って、アレ?なんだか、自分が変だ…」
雅は違和感を覚えていた。が、海の男を見るとそう言いたくてしかたがなかった。
「そうですね、ここからピーマン王国に行くには、船は絶対必要だよ。
泳いでいける距離ではないし、いかだでも行けないからねぇ。ところでラケットの…」
ダンディなおじさんはさっきからトシしか見ていない。
「嫌です!雅さん、もう、船もあきらめません?本当に怖いんですけど…」
「そうですよ、やめましょう!きっと緑しかないんですから!」
ダンディなおじさんの恐怖で行くことを拒否しだしたトシに、うのっぱも乗っかった。
「う〜ん、どうしよう?でも、ものすごい寝癖の人がピーマン王国に行ったっていうし…
どうだろう、ちゃお?千ちゃん?」
「ピーマンアルー!!」
「ピーマンほぇ〜!!」
「アルー!!」「ほぇ〜!!」
ちゃおと千は、「フォー!!」な感じで叫んでいた。ただ、叫んでいるだけで、はしゃいでいた。…念のため言っておくが、腰は振っていない。当然である。
「行きます!!今のところ手がかりはそれだけなんで!!」
雅は珍しくひとりで男らしく決断した。
「それで、船を用意していただけるんですか?」
「あぁ!オレは海の男、困っている人は助けるぜ!
その代わりといっちゃあなんだが、そこのラケットのお兄さんを…ぐはぁ!!」
海の男は派手に倒れた。トシは身の危険を感じて、ラケットの角で男を殴っていた。
「ラケットアルー!!」「ラケットほぇ〜!!」
ちゃおと千は単語の後ろに「フォー!!」な感じで叫んで、面白がっていた。…念のため言っておくが、腰は振っていない。当たり前である。
「なぁ、トシ、お前のことはちゃんと守ってやるから、
とりあえずこの人に船をどうにかしてもらおう、な?」
「…はい」
1時間後、海の男は目覚めた。日が暮れていた。
「見てみろよ。綺麗な月だぞ。」
「そんなことはいいから、早く船を出すアル!!」
ちゃおはトシとは別の危機感を感じて、海の男をにらみつけた。
「わ、わかったよ。ほら、こっちにオレの船があるんだ…こいつだ!!」
海の男の船とは、いったいどんな船なのか!?
次回はちゃんとピーマン王国に行くのか?
…次回に続く。