ミヤビクエスト〜第58話

  • 第58話〜マネージャー

 仲間たちがはしゃいだり困ったりガスマスクみたいなものをつけたりしている中、
 勇者雅はホテルの一室の前にいた。
 ホテルの支配人から情報を得るために、支配人が頼んできた、この部屋に出るらしい幽霊(?)をどうにかするためだ。
 雅は、その部屋から、前にも一度あったような人がいるような気がしていた。


 「う〜ん、なんでだろう?幽霊の知り合いなんていないはずだけどなぁ…
  あ、うのっぱのお父さんが自分のことを「幽霊だ」って言ってたっけ…
  でも、あれは自称だ、ってことだしなぁ…おじゃましまぁす」
 怖いからなのか何なのかよくわからないが、雅はそんな独り言を発しながらゆっくりとドアを開いた。
 するとそこには…
 「やあ。」
 「う、うのっぱのお父さん!!」
 …そこには、黒い服を着た、白い肌の男がいた。雅がかつて出会った、自称「幽霊」の、うのっぱの父親がいた。
 「お父さん、なんでこんなところに!?」
 「いやぁ、君たちに世話になってからすぐに、娘のテラコがブレイク?っていうの?
  それ、しちゃってね。
  出す曲出す曲大ヒットして、CMにドラマ、主演映画まで作られて、
  何故か少女漫画誌で『テラコ物語』っていう漫画まで描かれたりして…
  本当に、もう、テラコは世界的スターだよ!!
  本当に、本当にうちのテラコはかわいくてね…」
 雅は、このホテルに入る前に別のビルに掲げられた大きな看板を見ていた。そこでは、美しい女性が微笑んでいた。思い返してみると、その美しい女性は、テラコだった。
 「いや、テラコさんが世界的スターだ、っていうのはわかったんですけど、
  あなたはなんでここに?」
 「あぁ、そう、テラコが売れるようになってから、
  私がテラコのマネージャーをするようになって。
  テラコが大変そうだから、っていうか、私がテラコから離れたくなくてね。
  本当に、テラコがかわいくて…」
 「いや、だから、どうしてあなたはここにいるんですか、ってことを聞いてるんですけど…」
 「あぁ、そうだった。実は明日、この国のピーマン祭っていうのでうちのテラコがコンサートを
  することになって、それで、私もマネージャーとしてついてきたんだよ。
  …ところで、君はどうしてここに?というか、なんで勝手に人の部屋に入ってきてるんだ!」
 白肌の男は急に冷静になった。
 「え、そ、それは、ここのホテルの支配人に、この部屋に幽霊がいるからどうにかしてくれって
  頼まれて、それをどうにかすれば情報くれるからって…
  あ、あの、あなたが幽霊ってことではないですよね?」
 「あぁ、確かにここは幽霊が出るって噂の部屋だよ。
  そして、私がその、…幽霊ではないんだな、残念ながら。
  私は幽霊の噂を聞いてこの部屋に泊まってるんだ。ま、テラコは別の超高級ホテルに
  泊まってるんだけどね。だってテラコはスターだから!」
 「あぁ、はい。でも、なんで幽霊の噂がある部屋にわざわざ…」
 「だって面白そうじゃないか!!将来書くホラー小説の参考になるかもしれないし。
  それより、このホテルの支配人はまったく、人が泊まってる部屋に人を向かわせるなんて…」



 「ハックション!!!」
 支配人は誰かに噂されたような気がしてくしゃみがでた。
 くしゃみでホテルが大きく揺れた。だがホテルは耐震構造ばっちりなので安心だ。


 「それで、この部屋に幽霊は本当にいるんですか?」
 「いやぁ、それがね…」


 この部屋に本当に幽霊はいるのか?
 雅と仲間たちはどうなるのか?
 ピーマン祭りは?テラコのコンサートは?
 次回に続く!!