ミヤビクエスト〜第34話

  • 第34話〜脱線〜

 「可愛いだろう?世界一だ!ふははは。…ところで」
 「はい?」
 「…どちらさまですか?」
 国王シミーはとりあえず、知らない人が来た時のお決まりのあいさつをした。その時…
 どこからともなく小さな兄妹がやってきた。手には手紙を持っている。兄は、
 「息子さんからの手紙を預かってきました」
 と言う。妹はどことなくキングスライムを小さくしたような感じである。雅は、どこか見覚えのある手紙だな、と思いながらも、なかなか思い出せない。そして、
 「なんだって!母さん、ちょっと来てくれ!」
 シミー王がそう言うと、奥の方で編み物をしていたような、編み物の似合わない妻がとことことやってきて、おもむろに手紙を見た。
 「まぁ!」
 …この「まぁ」の声は世界に響き渡った。その声により世界中に風が吹いた。その風がシーサーの間を通り抜けたとき、「まぁ」の声はなぜか断末魔の叫びのように聞こえた。



  父さん、母さん、お元気ですか?…僕は何とか元気でやっています。
  広い大胸筋が欲しい、と反対を押し切って家を飛び出しましたが、
  いつも僕の体につくのは、あの頃家族で一緒に鍛えた上腕二等筋ばかり…
  僕はまだ家には帰りません
  でも、良い筋肉がついたら必ず帰ります
  いつか、きっと…
  その時までお元気で、さようなら…


 手紙を読むとシミーは小さい兄妹に対してこう言った。
 「今日はもう日が暮れる、よかったら、うちに泊まっていきなさい」
 兄妹がうなずくと、シミーと妻、そしてメイは家のあるほうに歩いていこうとした。
 「あ、あのポコは…」
 ずっとあっけにとっられていたトシがそう言おうとした時、メイの手の中にいたポコは自分からトシの方に飛び跳ねて戻っていった…
 「あら、そんなひどいご主人様の方が良いの?ポコが自分で選んだんだから、仕方ないわ。あなた、ちゃんと大切にしてあげてくださいね」
 メイは意外とあっさりポコを手放した。



 その時、ポコはこう思っていた。
 「う〜ん、この妹と一緒にいると、キャラが被りそう…。というか、別人な気がしないぞ〜。ここは、自分のポジションがはっきりしている雅たちと一緒にいた方がマシかも…」
 その時、メイはこう思っていた。
 「う〜ん、あの手紙は、パパとママの子供から…、ってことはお兄ちゃん?いたの?っていうか、家族一緒に鍛えた上腕二等筋?エルフなのに?」
 ポコは自分のポジションの確保のためにトシの元に戻り、メイは様々な疑問に困惑していたため簡単にトシにポコを譲った。
 雅とトシはポコを取り戻した!!小さい兄妹は人間的に少しでっかくなった!!!



 …一方、女性メンバーたちは…続く。